動作原理

このコンポーネントは、次の3つの方法でメールを保護できます。

1.外部のメールフィルターとして(メールサーバーでサポートされているMilterSpamd、またはRspamdのいずれかの拡張機能を使用)、またはSMTP(Postfix)モードでメールサーバー(Sendmail、Postfix、Eximなど)へ接続する。

2.BCCモードでDr.Web vxCubeと統合した場合に、メール添付ファイルスキャン用のメールサーバーへ接続する(メールのブラインドカーボンコピーの送信をサポートする任意のMTAを使用)。

3.SMTP、POP3、IMAP4のプロトコルを介してメールサーバーに対して透過的に転送されたメールのスキャンを実行する、プロキシを設定する。このスキャン方法の設定にはSpIDer GateDr.Web Firewall for Linuxが使用されます。これらのコンポーネントはGNU/Linuxでしか動作しないことから、この方法はGNU/LinuxファミリーのOSでのみ使用できます。

スキャンされたメールメッセージは、コンポーネント設定で設定されているルールに従って処理されます。メールサーバーとのインタラクションに使用されるインターフェースごとに、メールメッセージ処理のための独自のルールセットを指定できます。プロキシメカニズムを使用する場合(プロトコルSMTP、POP3、IMAPを介して直接受信したメールメッセージをスキャンする際など)、コンポーネントはDr.Web Firewall for Linuxの設定で決定された処理ルールを使用します。

メールメッセージのURLのスキャンには、SpIDer Gateコンポーネントと同じWebリソースカテゴリーのデータベースが使用されます。Dr.Web CloudDコンポーネントは、Dr.Web Cloudサービスを参照するために使用されます(クラウドサービスの使用はDr.Web for UNIX Mail Serversの共通設定で設定され、必要に応じて無効化できます)。送信されたデータを確認するために、Dr.Web MailDはDr.Web Network Checkerコンポーネントを使用します。後者では、Dr.Web Scanning Engineスキャンエンジンを介してスキャンが開始されます。

Dr.Web MailDまたはDr.Web vxCubeが統合されている場合、メール添付ファイル内の悪意のあるコードの有無を確認するためのスキャンは、直接実行できます。

MTAからMilterSpamdRspamdのインターフェースを介して(フィルターモードで)受信されたメールメッセージの処理は、Luaで記述された特別な処理手順(hook)を呼び出すことによって実装されます。この手順の間に、メッセージに関して利用可能なすべての情報(送信者、受信者、内部構造、ヘッダー値、スパムスコア)を分析した結果に従って、メッセージが拒否されるか通過されるかが決定されます。Milterインターフェースの場合、MTAがメッセージに適用するアクション(「pass」、「reject」、「return an error to sender」など)が返されます。適用されるアクションが「pass」の場合、ヘッダーの追加/変更など、メッセージに変更が加えられる場合があります。メッセージの悪意のある部分はパスワードで保護されたアーカイブに保存(つまり再圧縮)されます。スキャン対象のメッセージの変更をサポートしていないSpamdRspamdのインターフェースの場合、判定は、そのメッセージに割り当てられた「スパムレート」およびメッセージをスパムとして認識するためのしきい値の形でMTAに返されます(MTAからのレターを拒否するには、レートがしきい値を超過している必要があります)。レートに加えて、テキストによる判定(プロトコルによってreportまたはaction)がMTAに返されます。これはMTA設定で分析できます。

Luaの柔軟性と処理手順から得られる多数のメッセージ情報により、Dr.Web Anti-Spamから受け取ったスコアによる典型的なスパムチェックや、添付された脅威または悪意のあるURLの検索だけでなく、メールサーバーによるメールメッセージ処理に必要な判定と連携した、任意の条件のチェックも実装できます。検証手順の詳細と手順の例については、Luaでのメール処理のセクションを参照してください。

スパムの兆候の存在に関するメッセージ解析では、Dr.Web MailDは特別なコンポーネントDr.Web Anti-Spamを使用します。

ディストリビューションによっては、Dr.Web for UNIX Mail ServersでDr.Web Anti-Spamを利用できない場合があります。そのような場合、スパムの兆候に関するメールメッセージのスキャンは実行されません。